『古民家鑑定とは?』は概略ながら既に他のページでも説明させて頂いていますので、ここでは重複を避け、その意義について事例を挙げて説明いたします。

 田舎で評判の秀才Aさんは東京大学を卒業し、一流企業で活躍し、役員待遇で退職しました。現職中は退職後は田舎で『晴耕雨読』と言っていました。

 しかし長年、年に一回戻る程度でありましたので、いざとなると様変わりした我が家に腰が引けてしまい(一見して、もう駄目と思わせる外観の老朽化した様子)ついに田舎暮らしを断念し、先祖からの家屋敷を手放す事になりました。

 A家は古くは代々村の名主を務め、天保飢饉の際には近隣諸村の窮民対策として施米や炊き出しを行い、公共事業として巨額な私費を投じて自家所有の田地の区画整理事業を行うなど、旧家であり、歴代の当主は公共心の篤い徳望家でありました。

 明治維新後、A氏の曽祖父は、村長、県会議員の他、自由民権運動に没頭し、しばしば板垣退助が来訪するなど、その県の自由民権運動の中核となり、黎明期帝国議会でも活躍し、同家の奥座敷は県内自由民権運動発祥の地として、県政史のなかでも特別な意味をもっていました。

 戦後の苦境を凌いだ2千坪の屋敷、弘化2年上棟の母屋、門、土蔵3棟などを不動産屋に売却したのですが、宅地はそれなりの評価をしてもらいましたが、建物は無価値で逆に処分費用が掛かると言う事でその費用を差し引かれてしまいました。2年後、建物は破却処分され、屋敷は35区画に宅地分譲され、さしもの旧家A家も跡形もなく消え、平凡な新興住宅街となってしまったのです。

 建物が築25〜6年で無価値になる現状では、この様な話はよくあるケースで、そのために多く の貴重な建築文化遺産や地域のシンボル的景観が消滅してきたのです。

 このストーリーで何処かが間違っていると思う方は多いと思います。

  そうなんです、一つは戦前の全てを否定する戦後の風潮(豪農屋敷は搾取の象徴である。古民家は暗く寒く、陰湿な封建的的家族関係の場だ。洋風を取り入れた近代的住宅のほうが、華やかで楽しげな開放的空間になるのでは)があります。

 二つには現行法制度のもとで木造住宅は築25〜6年で財産的評価を失うと言う現実があります。また今の社会には歴史は時間の経過とともに進化発展するとの思い込みがあり、過去の技術、芸術性、先人の暮らし方などに対する敬意が失われている事もあります。その上、経済至上主義、国家意識の欠如したグローバル化により、殆んどの人々がコストや利益を超越した『絶対的な価値』がある事に気付かなくなっているのです。

 こうした悲しい現実を変えて行くためには、基本的には『和的なもの』に対する自信の回復、モノを見る眼力、知性の回復など文化の問題があります。また住まいを『永代の住処』から、『安っぽい消耗品』にしてしまった商業主義の住宅産業を超えて行かなければなりません。

 処方としては従来の不動産評価を超えて文化の価値を正当に評価するシステムを作って行かなければなりません。私は、それが古民家鑑定士の仕事だと思っております。

 例にあげた旧家の場合も、古民家鑑定士に相談し調査を受けていれば、素人目に『再生不可能』と見えた欠陥も、実は枝葉の問題であり、根幹を揺るがす致命的な欠陥ではないことに気付いたかも知れなかったし、あらためて自家が近代史の舞台となった事や、使用資材が極めて質の高い事を知らされ、売却を思い止まり、解体を免れたかも知れなかったのです。

 また仮に売却されるとしても、当面は保有し続け、建物の真の価値を認める人の登場を待つ事も出来た筈であります。物件がいったん不動産企業にわたると、企業原理として利益発生を急ぎ、直ちに建物を破却し、宅地造成し分譲してしまうのです。一例を申し上げましたが、この様にして古民家鑑定士は全国に残された150万戸の貴重な古民家を守っていこうとしているのです。静かな 文化の防衛戦なのです。

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